経理で出世・昇進していくうえで管理会計は非常に大事なスキルですが、転職活動時に失敗するケースもたくさんありますので、反面教師として、その内容を確認しておきましょう。
KPIなどの横文字を職務経歴書に書いたり、面接で連呼している。
前回の記事で、KPIって単語を使うなと書きました。
私が面接官なら、KPIKPIと連呼する人は、すぐに落とします。多くの面接官も、落とすはずです。
なぜなら、そういう人は、我が強くて、空気を読めなくて、面倒くさい人がほとんどだからです。会社のことをちゃんと良く分かってもらったうえで、良い仕事をしてもらいたいのに、そんな、どこからか借りてきような表現をこれ見よがしに振りかざされても、ドン引きです。
管理会計は、最終的に経営を良くするためにするわけです。経営を良くするためには従業員全員の協力が必要です。ということは、みんなが理解できるようなシンプルな構造にしておく必要がありますよね。それを、スタートからいきなり横文字にしてわかりにくくしちゃう時点で、もう、入口で転んじゃっているようなものです。
そんなつまらないところにコダワリがある人、、いや、違うな、、そんな横文字使うことに対して「もしかしたら相手は自分の言ってる事を理解してくれていないかもしれない」という想像力が欠落しちゃってる人、絶対うまく管理会計を導入できませんって。
唯一うまくいくかもしれない例外は、あなたがマッキンゼー出身か何かで、面接官が社長で、「この人スゴイかも!?」って思ってくれて、社長直轄でプロジェクトを組んでくれるような場合くらいです。そんな人、このサイト最初から見ないでしょ。笑
特に、創業者社長で一代で会社を大きくしてきたような人には、横文字は使わない方が良いですよ。会社が小さくて、あまり良い人を取れない中で採用を続けながら、どうにか少しでも自分の代わりが務まるようにと苦労して教育してきて、少しずつ会社を大きくしてきたわけです。そういう人たちは、あの手この手で表現を変えながら10を伝えても1とか2とかしか伝わらないような苦労をしてきているわけです。それを、横文字なんて並べちゃったら、もう、最悪ですよ。笑
とうことで、コンサルティング業界の人が使うような単語を「カッコイイ」と思ってしまいがちな人は、面接では十分お気をつけください。「経営指標」や「計数管理」という立派な日本語がありますので、そちらを使うだけでかなりイメージが変わりますよ。
施策を打って改善したという実務経験をアピールし過ぎている。
語弊を恐れず言ってしまえば、問題がどこにあるかさえわかってしまえば、あとは対策を打つだけなんです。
対策が難しそうに見えるのは、「それで正しい効果が得られるかわからない」とか「正しい効果は得られそうだが諸々の事情でその手段を採れない」かのいずれかが原因です。いずれも、「小さく試してみる」、「前提条件を変えてみる」とか、いくらでもやりようがあります。
したがって、問題がどこにあるかわかるようにする最初のフェーズの方が、百倍とは言わないまでも、十倍くらい難しいんです。
なので、もしも、いま働いている会社が優秀な管理会計の仕組みを持っていて、それに基づいた施策を打ってすごい改善をしたとしても、対外的には、それをあまり大袈裟に書き立てない方が得策です。産みの苦しみを知らない、浅はかな人に見えてしまいます。誰かが準備してくれた管理会計のインフラを使った、手柄の横取りです、簡単に言うと。
もちろん、施策を打って、最後までやり切るのは、すごく推進力がいることで、大変なことです。その苦労は間違いなく、称賛に値します。ただ、相手によってマイナスになる受け取られ方をするリスクがあるのであれば、言い方を考えましょうよ、ということです。
このため、自分の管理会計を使った業績についてしこたまアピールしたら、その後にこんな感じでマイルドに言うと良いでしょう。
「ただ、管理会計を担当しながら、いくつかの社内の問題を解決してきたとは思うんですが、結局、良い指標さえ作れれば、あればそれを追いかけて何かしら改善の案を出していくことはそれほど難しくなくて、むしろ難しいのは、今見えていない問題を切り出せるような指標を作ることの方だと考えています。まだ見えていない課題に対して、情報が足りないなかで、関係者に必要性をわかってもらって関係する数字を出してもらうよう協力をお願いするわけですから、そこは人間対人間の部分で、正直、一番苦労が大きいところですよね。」
これで、数字だけを追いかける冷徹な感じではなくて、だいぶ人間っぽさが出てきましたね。
え?多少話を盛ってるんじゃないかって?
誤解は招きやすいかもしれませんけどウソじゃないですよ。ウソはついちゃいけませんよ、ウソは。笑