転職先の経理がどの階層にあるかを見分けるには?(面接編)

これから転職しようとする会社の経理が、どの階層に属するかの確認方法の第2回。今回は、面接時に判断する方法をご紹介します。

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暇な時期ほど、経理職の仕事のレベルがわかりやすい

まずは、面接官に、この質問をしてください。「御社で働くことになった場合のイメージをつかみたいので」というような前向きな前置きも忘れずに。笑

「締日から3日~6日くらいまでは月次決算関係で請求書を集めたり仕訳を作成したりしているかと思いますが、その後15日目くらいまでは、どのような仕事をしていますか?」

上位の経理職は、改善関係や予算、財務戦略など

 

  1. いわゆる「改善」モノ(小規模なシステム改修などを含む)の継続的な実施
  2. プロジェクトモノ(M&Aや組織再編などを含む)や制度変更に向けた準備
  3. 予算の修正など着地、見通しの調整・修正、および、これらに基づく財務計画

このように、月中に時間ができて将来のための仕事や新しいことに取り組んでいるというのは、比較的進んでいる会社の証拠で、第2階層以上である可能性が高いです。

下位の経理職では、日々の支払や、照合、明細作成など

 

  1. 勘定明細、滞留債権/債務、などの残高管理系や請求書の発行
  2. 入力、照合、支払手続
  3. 小口現金、経費精算

照合や明細作成というのは、第3階層の典型的な仕事です。第2階層の会社では、明細の作成という作業が存在しませんので、話が通じません。そもそも明細は、システムから自動で出てくる世界です。

管理やサポートという単語が出てきたら具体的に確認する

 

  1. 国内外の子会社の管理・サポート・問い合わせ対応
  2. 他部署からの問い合わせの対応

このあたりの単語が出てきた場合は、要注意です。特に「管理」という単語は、非常に曖昧な概念で、会社側が都合よく使ってくることがあります。

財務諸表の作成や組替は第3階層の経理の仕事

子会社・現地法の管理というのが、管理と言いつつ、財務諸表の組替であったり、子会社の月次の財務諸表を作ること自体だったりということがあります。これは、完全に第3階層の仕事で、第2階層では話が通じない世界で、組替なんて、本質的には人間が手でやる仕事じゃありません。

余談ですが、第3階層であったとしても「小さな子会社の全てを見ることができる」のであれば、これはキャリア的には非常にオイシイ仕事です。私も昔、建設業の小さな会社を1社見たことで、非常に勉強になりました。

上位階層の子会社管理は資金関係、設備投資関係、着地見通しなど

一方、同じような「管理・サポート」についても、いわゆる親子ローン含めたCMSや、リースの判断などの投融資関係や、税務ポジションのサポートなどがパッと出てくるのであれば、第1階層、第2階層の可能性が高いです。第3階層でもそういう仕事は当然ありますが、エンヤコラしながら財務諸表を作ったうえでそういう話になるので、最初にそういう話が出てくることはないです。

多すぎる他部署からの問い合わせは、第3階層の兆候。背景に着目

他部署からの問い合わせの対応というのは、旅費や立替経費、請求書の処理などのルーチンの問い合わせ対応と、新規案件等についての問い合わせがあります。ルーチンの問い合わせ対応が多発しているのであれば、それは、ルールの標準化不足と浸透度が低いことが原因で、これは、第3階層の兆候です。

ちなみに、ルールの標準化不足自体は経理側の問題で、浸透度の低さについては、ルールを守らせることへのインセンティブがないという、経営の問題です。ただ、結局は、ルールを守らせることの意義を経営に伝えきれていない経理の問題です。

さて、後者の新規案件についての問い合わせですが、これは慎重な判断が必要です。

なぜなら、他部署に経理出身者がいないため、結果的に、経理に丸投げせざるを得ない、という状況の裏返しの場合と、純然たる新規案件の場合があるためです。

以前のエントリーでもご説明しましたが、他部署に経理出身者がいないというのは、経理のプレゼンスが低いということと、他部署に経理出身者を放出する余裕がないということで、これは第3階層の兆候です。

相手のプライドを傷つけることがないよう気を使いながら「経理から他部署へ異動される方は事業部の経理担当とかをされているんですか?」とか聞いてみると良いと思います。「あまり事業部に経理担当を置くことはないですね」というようなリアクションでが返ってくるのであれば、「一元管理されているなんてすごいですね」と適当に褒めておきましょう。その会社は、ほぼ第3階層です。

決算中の仕事から判断するのは難しい

暇な時期の仕事で判断するのは決算中の仕事も聞いて総合的に判断することになりますが、決算中の仕事の方は、会社毎にビジネスが違うのでちょっと分かりにくいんです。サービス業の会社とメーカーでは全然違うということは理解できると思いますが、例えばメーカーであったとしても原価計算の仕組みが全然違ったりするので面接の時間内に判断するのが難しいという背景があります。ただ、確実に判断できる鉄板ネタがあります。

「一人〇社担当している」という表現は、下位の経理職

さて、子会社が何社かある会社から転職する場合、「一人あたり何社くらい担当しているか?」という話が出ることがあります。これは、親会社への報告様式と、グループ会社間の取引手法や資金調達、それらを踏まえた税務ポジションなどが標準化されていないことを意味していますので、第3階層の表現です。第2階層以上では、一人何社とかではなく、50社を3人でとか100社を2人で、とか、そういう表現になります。

上位の階層で子会社を担当することもありますが、それは、担当する分野について広くあまねく全子会社に対してサービスやサポートをすることになるはずで、やはり○社、という表現にはあまりなりません。

投稿者:

白賀

30代。 経理職で転職を繰り返し、現在某社でファイナンスを担当しながら、非上場のスタートアップ会社でCFOを勤めています。

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