経理で使う英語は、アニュアルレポートで勉強せよ

以前の記事で、英語ができると求人の幅が広がるということを書きました。今日はどうやって英語力を鍛えるかについて記載します。今回は語彙力や表現力を増やす方法です。

これはもう、超絶オススメな方法で、この方法で英語を勉強した人が、転職先でアニュアルレポートの作成担当になったり、「英語ができそう」っていうイメージだけで連結決算担当になっちゃったりするくらい有効な方法です。笑

経理で必要な英語表現は、アニュアルレポートだけで十分

経理として働くうえで使う英語表現は、ほとんどアニュアルレポートだけで学ぶことが可能です。アニュアルレポートの内容以上のことを知っておく必要がないくらい、必要十分と言えます。それはなぜか?

アニュアルレポートは、英語の勘定科目、数値の表現方法、説明文例が豊富。

そもそも、アニュアルレポートは何のための資料でしょうか?

株主やこれから株主になってくれそうな人たちに当社はこんなビジネスをしていて、こんなパフォーマンスを上げていますよと説明する資料です。

これ、CFOが投資家に対してSR(Shareholder’s relationship)活動で行っている際に行っている内容と同じです。

さて、あなたが仮に海外子会社の担当になったとします。その時、どんな仕事をするかと言うと、

  1. 定期的なレポートを入手する。
  2. 大きな変化があった部分について、何があったのかの背景等を確認する。
  3. 今後の見通しや、状況の変化への対策などを確認する。
  4. 必要に応じてアドバイスをする。

こんな仕事をすることになります。

このあたりの内容は、アニュアルレポートを見れば、懇切丁寧に書いてあります。

英語教材として使用するなら、M菱商事のアニュアルレポートがオススメ

具体例を挙げましょう。以下は、M菱商事のアニュアルレポートの一部です。英語版と日本語版を交互に記載しています。

Progress on New Strategic Direction
「経営戦略2015」の進捗

How is the progress on ~(~についての進捗はどう?)なんて質問、便利そうですよね。
Financial Results for the Year Ended March 2015
2015年3月期の決算の状況
〇〇年〇月期というのは、the year ended xxxで表現することがわかります。
Consolidated net income during the fiscal year ended March 2015 totaled JPY400.6 billion, meeting our full-year forecast of JPY400.0 billion.
2015年3月期の連結純利益は4006億円となり、通期業績見通しの4000億円を達成することができました。
連結ベースの金額というニュアンスを出すには、Totalという動詞を使うと良いということがわかります。また、見通しに対して合わせた=達成したという意味ではmeetという単語を使うということも分かります。こんなの、普通に辞書引いたらachiveとか書いちゃいそうですよね?
Although we were able to meet our full-year forecast thanks to steady profits in the non-resource field, we were forced to post an impairment loss of JPY95.0 billion in resource-related businesses and a total impairment loss of JPY127.0 billion including corresponding figures for other businesses.
今回の決算では、非資源分野の底堅い利益の積み上げにより、通期連結業績見通しを達成することができましたが、資源関連で950億円、その他も含めた総額では1270億円の減損を余儀なくされました。(中略)
良いことの理由を説明するときは、Thanks toを使うと良いとわかります。また、減損損失というのは、impairment lossだと言うこともわかります。費用を認識するときは、recognizeとか使いますが、仕訳を切ったりするときにはpostという単語も使います。
Profits in the resource field fell from the previous year due to impairment loss.
資源分野は、減損の影響で前期比益。

辞書を引いてしまうと、増えた=increase、減った=decreaseと書いてしまいがちですが、減ったときはfall/fellを使えば良いとわかります。また、悪いことを説明するときは、due toを使うと良いとわかります。良いときはthanks to、悪いときはdue to、使い分けですね。これも辞書ばっかり引いてると何でもbecause ofって書いてしまいそうです。

M菱商事のアニュアルレポートが非常に良いのは、日本語を一語ずつ訳していくような逐語訳にせずに、意味を正しく伝えるための英訳になっていることです。流石海外に打って出る会社だけあって、このあたりの表現力は、そこらのメーカーのアニュアルレポートとは、明らかに違い、一線を画しています。

ディスカッションのパートでは、ロジカルな説明方法を学ぶことができる

M菱商事の2015年版であれば、後半に、取締役がコーポレートガバナンスについてディスカッションするパートがあります。会話はキャッチボールですから、自分の考えたことをロジカルに説明する必要があり、そのときにどのような表現を使っているかなどが学べます。

外資系に転職するときのレジュメの書き方の参考になることも

アニュアルレポートを通じて、さまざまな人が出てきますよね。その人の経歴が小さく横に書いてあることがあります。

これが、一番シンプルにしたレジュメです。

大体、このあたりに出てくる人は、会社のエース級の人材ですので、表現も多少盛っているはずです。あなた自身を売り込まなければならない転職時に、このあたりの表現を知っているということは、強い武器になります。

日本語版を読みこんだ後に、英語版をひたすら音読すること

せっかく豊富な文例が盛りだくさんですので、日本語を読み込んだ後には、音読をしましょう。

音読の回数は、10回とか20回とかじゃなくて、お風呂に入りながらそらんじることができるようになるくらいまでが目安です。

ただ、何回読んだかというのは、スタンプ押すことでも何でも良いので記録に残しておくようにしましょう。モチベーションの維持につながります。そして、できれば、10回読む毎に、音読する時間がどのくらい速くなったかも記録しておきましょう。細かいことですが、これも、モチベーション維持に使えます。

会話力をどうやって身に付けるかについては、また別の記事に記載します。

投稿者:

白賀

30代。 経理職で転職を繰り返し、現在某社でファイナンスを担当しながら、非上場のスタートアップ会社でCFOを勤めています。

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