経理職にあるカースト(階層)について

経理職にはカースト(階層)がある

経理は専門職だから潰しが効く、と世間では良く言われています。

たしかに、それは事実の一面ではあるのですが、未経験で経理職への転職を考える人、経理職で他社への転職を考える人、いずれの人にもよく覚えておいていただきたいことがあります。それは、

経理が行う仕事は、階層により明確に分かれる

どこまでが経理の仕事の領域か、どこまでを人の手でやるか、などにより、そこには明確なカーストが出来上がっています。「経理」と一言で言ってしまうとそれで終わりですが、会社により「経理」が何をやっているかが階層化されているとお考え下さい。

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経理職におけるカースト制は、ちょうど、上のような形で4つに分類されています。ここでは、それぞれがどのような環境で、どのような仕事をしているかを理解しましょう。

第1階層:CFO候補

この階層の会社では、システム化と外注化の双方が進んでいます。経理の仕事はファイナンスよりの仕事が多く、投資意思決定、タックスプランニング、予算管理やインセンティブ制度等を含めた管理会計システム自体の維持運営改善など、会社を動かしていくための制度自体に関わる仕事が多いです。

貸借対照表が1円バランスしないとか、そんな話には一切興味がありません、というか、そういうこと自体が最初から発生し得ない仕組みなので、そういうことが起きるイメージがそもそもありません。

とはいえ、買収先の経理の仕組みがボロクソで立て直しの指導にあたることがあり、第2階層や第3階層でどんな悲劇的な手作業が行われているかはうっすらとしたイメージを持っています。ただ、立て直しのサポートに行ったとしても、自分で大量の仕訳を切るようなことはほとんどありません。

ちなみに、こういう仕事を専門的にしている部署が他にある場合で、別途経理の部署がその会社のなかにあるとき、その経理は社内的には完全に下請けで、第3階層くらいになっているケースが多いので、ご注意を。

第2階層:システムオペレーター

この階層の会社では、ルーティン作業については、比較的システム化が進んでいて、ある程度効率的に仕事ができるような仕組みになっています。

集計に必要な数字を手作業で拾うというようなことはあまりなく、落としてきたデータをピボットテーブルで集計すれば対応できる程度にはデータが標準化されています。場合によっては、経理の人が自分でSQLを叩いてデータを取ることもあります。

請求書の勘定科目を、経理の人が個々に判断しなければならない状況は少なく、「一番情報を持っているのは上流(=発注部署や請求書を受け取った部署)なんだから、その人たちが持っている情報をうまくシステムが取り込んであげれば良いよね」という考え方がある程度社内に浸透しています。

一部マニュアルで対応せざるを得ないイレギュラー処理はありますが、そういったイレギュラー処理をどうシステムに織り込むかというような課題への対応も多く「自分は経理屋というよりも、システム屋に近いのかもしれない」という気持ちになることも多くあります。

送金や入金などのシステムはある程度充実していて、 手作業で1件ずつ打つことはあまりありません。税金の申告書などは、基本的には内製ができる状態になっていて、連結決算は、システムで対応しているケースが多いです。

社内での経理の立ち位置は比較的強い場合が多く、勤務体系としては、フレックスなどが十分に運用されていることが多いです。

(2020年8月追記)とある経理系のサイトで、新興の大企業はシステムがちゃんとしているのでと書いてありましたので念のため注意喚起。新興で本当に伸びている会社は、事業転換・社員の増加・組織変更(M&A等含む)のスピードが速く、カチッとした要件を決め切らないんです。結果、組織の変化のスピードにシステムが追い付かず、第3階層の方が多いです(冷静に論理的に考えてそうなりそうだなって思いますよね?)。ただし、若いITの会社とかはベースの仕組みがマシ(freeeみたいな自動っぽいのがあったり旅費とかも効率的に精算できたり)なことがあります。おカネを払って記帳するところまでそこそこ良いモノが入っているだけで、それだけです。騙されてはイカンですぞ。

第3階層:経理職人

経理の仕事と他部署の仕事は区分されていて、例えば、経理の担当者が給与に係る社会保険料や個人所得税の金額を計算する、というようなことは少ないです。ただ、経理内で使用しているシステムは、決算を締めるために必な最低限のもので、効率的とは言いにくい状態です。

請求書の処理などは、「請求内容はOKだから、あとは経理で何とかしておいて」というような状態で、システムへの入力から、送金に至るまで、経理で全て行うというケースも多々あります。

会社が成長を続けるなかで常に新しい事象への対応に追われていて、管理系の部署の仕組みの見直しに十分な時間を割けないまま会社だけが大きくなったケースも多いです。「えっ、この会社こんなクラフト感あふれる手作業してんの!?」と驚かされることもあります。(大企業なのに、常時経理で募集がかかっているような会社は、通常ここに該当します)

社内における経理の立場は比較的弱く、「数字のからむ面倒なことは経理に」というような風潮があることも特徴です。

必要な数字をパッとシステムから出すことができないので、月次決算ベースで、たくさんExcelのシートを作ります。立替金、仮払金、未収入金などの勘定明細が手作りであることが多いです。また、数値の集計はピボットテーブルで加工するというよりも、都度コピーを取っておいて、別のシートに入力しておくというようなサブシートの使用や、目検で拾っていくという方法も多いです。昔誰かが作ってくれたマクロがシステム化してしまっていて、もはやメンテナンスできないということが多いのも特徴です。

勤務体系としては、フレックスはあっても十分に機能していないか、そもそもないことが多いです。その背景には、フレックスなんて導入せず、全員同じ時間に働かせる方が効率的だという考え方があります。こうした効率主義が、短期的にコストメリットに見合わないシステム導入を見送らせ続けています。

第4階層:総務課員

いわゆる中小企業の総務/経理担当、人事/経理担当のような近いイメージです。給与の送金から出張旅費の精算や、請求書の支払処理や、銀行口座や小口のキャッシュの管理など、なんでもやります。会社の形態としては、小規模なオーナー企業の場合と、どこかの子会社の場合があります。

そもそも経理ではなく総務の一部なので、支店をつくるとなれば事務所を探すところから契約の手続きから必要な届出まで何でもやりますし、得意先に不幸があれば供花の手配をすることもあります。他に人がいなければ、衛生管理者になることもあります。

もはや、経理ではなく経理的な総務なので、自分で申告書を作るに至ることはあまりなく、税理士にお願いするか、親会社やシェアードサービスの会社に面倒を見てもらう場合がほとんどです。

会計システムは、主体的に会社がこれと言って決めたというよりも、親会社に指示されたシステムを使っているか、税理士が使っているシステムを使っているというケースの方が多いです。最近は、記帳代行をお願いするケースも増えてきていて、経理要素が減ってきてただの金庫番に近くなってきています。

経理職として自分はどの階層にいるのか、どの階層を目指すのかを把握すること

何事も、現状把握と適切な目標設定が重要です。

これから経理職として成り上がろうと考えている人、また、これから転職を考えている人は、今自分がどこにいて、どこを目指して行きたいかを、上の区分を見てよく理解しておきましょう。

ちなみに、この経理業界ナビが目指すのは、若くして第3階層の経理職に配属されて、不本意ながらも延々と下積みをさせられている人を救い出すことが大きな目的の一つです。

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投稿者:

白賀

30代。 経理職で転職を繰り返し、現在某社でファイナンスを担当しながら、非上場のスタートアップ会社でCFOを勤めています。

“経理職にあるカースト(階層)について” への2件のフィードバック

  1. はじめまして。経理業界に入って1年目の20代半ばの新人です。
    2年前の記事ですが、こちらは返信いただけるのでしょうか…?
    私は今第3階層と思われる経理職です。
    5年目の経理主任が決算やったことない。という状況のようで、長く居る会社ではない、と考えています。
    3年の経験を積んだとして第3階層から脱却するにはどういった会社に転職活動すればよいのでしょうか?
    求人内容等、会社を見極めるコツがあれば教えて下さい。
    よろしくお願いいたします。

    1. 柴田さんこんにちは白賀です。最近ブログ放置していてすみません。
      第3階層に5年もいながら決算も担当させてもらえない経理主任の方がいる状況であれば、その上のところでJob Securityの問題が発生しているのではないでしょうか。
      在籍されているのが、経理部なのか経理課なのかわかりませんが、その上の人が主要な外部とのコミュニケーション(税理士とか銀行とか)を牛耳っていて、ひたすら請求書の処理とかを下の人が押し付けられている、こんな絵が想像されます。
      第3階層の人が第2階層の会社に行くのは結構大きなジャンプが必要です(というかシステムに投資してくれる会社が少ない)。
      システムに投資できない理由は、業界的にビジネスの変化が速いせいで要件定義ができないか、あるいはお金がないか、です。
      なので、できるだけビジネスに大きな変化が生じていない業界にある会社、の子会社とかを狙いに行くのがよいかと思います。

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